人を育てる

子供が大きくなるにつれて、今まで忘れていた、自分が子供の頃のことを思い出す。母はどうしたかな、とか、子供の私なら当時どう感じたかとか、ちょくちょく似た様な場面に遭遇するからだ。

最近、良く思い出すのは、親子で課外活動、飼育小屋の前で絵を描いているときの事。

小学校一年生の私が、大きな画用紙に下書きで何匹かのうざきを描いていると、母が後ろから「大きくうさぎを描きなさいよ、もっと元気に、」と言ってきた。

私は、自分が描いているものが否定されて、悲しくもあり、これは私の絵だから関係ないじゃんという激しい怒りもあり、でも大好きな母に好かれたいという気持ちも強く、色んな感情が入り混じって、とても嫌な気持ちになっていった。恐らく気に入られたくて、母の言うような、大きく描かれたうさぎの絵にしたんだろうけれど、あの時はとても嫌な思いをしたな、という記憶だけが残った。子供の時に体験したショックは、30年以上経っても消えない。もっと衝撃的な事はその後いくらでも起こっただろうに、大人になるにつれて人間は吸収力に長けてくる。

だから、子供にはそういう思いをさせたくない。自分が親になってから、親が子供にこうあって欲しいと望む気持ちもすごくわかる。無意識のうちに言葉の端々に、そういうニュアンスを含めちゃってる時がある。そんな時、子供の頃の記憶がムックリと起き上がってきて、感情に任せて発言した親の責任の大きさを痛感する。もしかしたら、この子は一生忘れないのかもしれない、と思うと、やはり親でも子供に謝らなければならないと強く思う。